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義歯と噛み合わせ 第4回 歯や義歯が入っていても「咬合支持」は本当に機能しているのか?

前回までお話ししてきたように、
義歯治療で本当に重要なのは、

「歯があるかどうか」
「義歯が入っているかどうか」

ではありません。

現在の口腔内が、ご自身の歯や装着されている義歯によって、
**咬合支持がきちんと機能しているかどうか**が、最も大切なポイントです。

歯が残っている。
義歯が入っている。

それだけで、噛み合わせが安定しているとは限りません。

では、その咬合支持は、
実際にどのように調べているのでしょうか。

■ 一般的な噛み合わせの検査方法

一般的な歯科医院では、

「カチカチ噛んでください」

と患者さんにお願いし、
赤い咬合紙を使って歯の接触があるかどうかを確認します。

この方法は簡便で、多くの場面で有効ですが、

・強く噛んだときの接触が中心になる
・軽い接触や「支え」としての機能は分かりにくい

といった限界もあります。

■ 当院で行っている咬合支持の評価

当院では、
より詳しく咬合支持を評価するために、
**歯接触分析装置「バイトアイ(BiteEye)」**を使用しています。

バイトアイは、

・歯や義歯が「どこで」
・「どの程度」
・「どのように」接触しているのかを

**画像と数値で客観的に確認できる装置**です。

■ 噛み合わせを邪魔しにくいブルーシリコーンを使用

バイトアイの大きな特徴のひとつが、
**噛み切り抵抗の少ないブルーシリコーン(ローフロータイプ)**を用いて計測を行う点です。

この材料は、

・噛み合わせを変化させにくい
・微細な接触まで記録できる

という特徴があります。

単に
「強く噛んだときに当たるかどうか」
を見るのではなく、

**本来、咬合支持として機能すべき接触が存在しているか**
を確認することができます。

■ ストリップによる接触確認

さらに当院では、
8ミクロンのストリップを使用し、
実際に接触が成立しているかどうかを細かく確認していきます。

これにより、

・見た目では当たっているように見える
・咬合紙では色が付く

といった場合でも、
**実際には十分な接触が得られていないケース**を把握することができます。

■ 見た目と機能は一致しないことが多い

実際の臨床では、

歯や義歯が装着され、
一見「噛めていそう」に見えても、
**咬合支持が十分に機能していないケース**は少なくありません。

それは、

・最初から接触が不十分な義歯が装着された場合
・一度獲得した咬合支持が、義歯の設計や粘膜の変化により喪失した場合

など、さまざまな要因が関係しています。

また、
咬合平面が乱れたまま不用意な位置で歯が当たり、
顎がずれることで、
見た目上は接触していても、
**咀嚼運動の中では十分な接触が得られない**こともあります。

■ 次回予告

噛み合わせ(咬合)は、
実は人それぞれ大きく異なります。

歯の残り方、顎の動き、筋肉の使い方、
そして義歯の設計や粘膜の状態など、
確認しておかなければならない要素が非常に多く存在します。

そのため、
義歯治療は「歯を補う治療」であると同時に、
**咬合をどう捉え、どう整えるかが問われる難しい治療**でもあります。

今回までのお話は、
咬合に関するほんの入口、さわりの部分にすぎません。

次回は、
歯が当たっているのに噛めない原因として非常に重要な
**「咬合平面」**について、
患者さんにも分かりやすくお話ししていきます。

歯接触分析装置バイトアイ(BiteEye)による咬合接触の評価

歯接触分析装置「バイトアイ(BiteEye)」。噛み合わせの接触状態を、画像と数値で客観的に評価します。

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