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義歯と噛み合わせ【第5回】 歯は当たっているのに噛めない理由 ― 咬合平面の話 ―

「歯がある」
「義歯が入っている」

それだけで、
噛み合わせが安定しているとは限りません。

実際の臨床では、

・歯は当たっているのに噛めない
・義歯が動く
・義歯が痛い

といった相談を受けることが少なくありません。

その背景に関わる重要な要素のひとつが、
咬合平面です。

■ 咬合平面とは何か

咬合平面とは、
単に「歯の高さ」や「歯並びのライン」を指す言葉ではありません。

噛む力が、

・どの方向に
・どのように
・口の中を流れていくか

その「力の通り道としての面」、
そう考えると分かりやすいかもしれません。

■ 歯が連なった「ライン」として考える

もう少し身近な言葉で表すと、
咬合平面は「歯が連なってできているライン」とも言えます。

一般的には、

・前から後ろへ
・右から左へ

どちらの方向から見ても、
このラインはなだらかな曲線を描くのが自然だと考えられています。

■ 完全な一直線ではありません

歯は、
定規で引いたような一直線に並んでいるわけではありません。

前歯から奥歯にかけて、
わずかにカーブしながら連なっています。

また左右方向も、
真っ平らではなく、
緩やかな丸みを帯びています。

■ モンソン球面という考え方

この「前後・左右ともに丸みをもった歯の並び」を
説明する考え方のひとつに、
モンソン球面というものがあります。

といっても、
口の中に特別な球体がある、という意味ではありません。

■ ボールの表面に歯が並んでいるようなイメージ

例えるなら、

「大きなボールの表面に、歯がそっと並んでいる」

そんなイメージです。

そのボールの表面に沿うように歯が並んでいれば、

・前後的にも
・左右的にも

噛む力が分散されやすく、
無理の少ない噛み合わせになりやすい、
と考えられています。

■ すべての人が同じ形になるわけではありません

ここで大切なのは、

「この形が正解」
「必ずこうでなければならない」

という話ではない、という点です。

体格が違うように、

・顎の大きさ
・顎の形
・歯の位置

も人それぞれ異なります。

そのため、

・多少ずれていても問題が起こらない場合
・わずかな乱れが症状につながる場合

があります。

■ 咬合平面が乱れると何が起こるのか

咬合平面が乱れると、

・噛む力が偏る
・咀嚼筋に無理な負担がかかる
・噛んでいるのに支えとして機能しにくくなる

といったことが起こりやすくなります。

その結果として、

・噛めない
・義歯が動く
・義歯が痛い

といった症状につながることがあります。

■ 有歯顎と無歯顎では考え方が異なる

咬合平面の考え方は、

・歯が残っている場合(有歯顎)
・歯を失って義歯になる場合(無歯顎)

で、大きく異なります。

前後的な位置関係だけでなく、
左右のバランスも含めて観察する必要があるため、
咬合平面の評価には、ある程度の分析が必要になります。

■ 咬合平面を見る目的

咬合平面を考える目的は、

「歯並びをきれいにそろえること」
ではありません。

その人の口の中で、
噛む力が無理なく流れているかどうか、
それを確認するための視点です。

■ 次回に向けて

咬合は人それぞれで、
確認しておくべきことも多くあります。

そのため、
義歯治療は決して単純なものではありません。

まだ、
咬合については入り口の話しかできていませんが、

次回は、
この咬合平面を実際にどのように調べているのか、
その考え方のひとつである
「フェイスボウトランスファ」についてお話しする予定です。

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