前回は、
「歯が当たっているのに噛めない理由」として、
咬合平面の重要性についてお話ししました。
では、その咬合平面は、
実際にどのように調べ、評価していくのでしょうか。
今回は、
咬合平面を評価する方法の一つである
「フェイスボウトランスファ」について、
当院の考え方を含めてお話しします。
■ フェイスボウトランスファとは
咬合平面を評価する方法の一つに、
フェイスボウトランスファという手技があります。
これは、
患者さんのお顔と顎の位置関係を、
模型や咬合器の上に再現するための方法です。
単に歯の形や高さを見るだけでなく、
頭部に対する顎の位置関係を考慮することで、
より立体的に噛み合わせを捉えることができます。
■ 臨床に取り入れる難しさ
フェイスボウトランスファは、
理解が難しく、手技的にも簡単なものではありません。
臨床に取り入れるためには、
単に器機を導入するだけでなく、
理論の理解と、継続した修練が必要になります。
内容そのものが理解しにくく、
さらに手技的な難しさも伴うため、
日常臨床で頻繁に行われる技術ではありません。
そのため、
誰もが日常的に行う検査・手技という位置づけではなく、
必要性を慎重に見極めたうえで
選択される技術だと考えています。
■ 本当に必要なのか?意見が分かれる理由
このフェイスボウトランスファについては、
歯科医師の間でも意見が分かれます。
ある調査では、
歯科医師1000人にアンケートを行ったところ、
フェイスボウトランスファを
日常的に行っている歯科医師は、
ごく少数だったという報告もあります。
そのため、
「フェイスボウトランスファは必ずしも必要ではない」
という考え方が存在するのも事実です。
■ 当院のスタンス
当院の考え方は明確です。
フェイスボウトランスファは、
必ずしもすべての症例で必要なものではありません。
しかし、
咬合平面の是正が治療工程に入る場合には、
重要な意味を持つことがあります。
大切なのは、
「必ず行う」「一切行わない」といった
極端な考え方ではなく、
必要な場面を見逃さないことだと考えています。
■ 経験してきたからこそ判断できる
フェイスボウトランスファに取り組んできたからこそ、
・必要な場面
・そうでない場面
を判断できるようになります。
必ずありきの技術ではありませんが、
咬合平面の是正が必要な症例で、
あえて行わない理由もありません。
そのような位置づけで、
当院ではフェイスボウトランスファを考えています。
■ 次回予告
次回(第7回)では、
咬合平面や顎の位置関係を
模型上で正確に再現するために用いられる
「プロター咬合器」についてお話しします。
フェイスボウトランスファと
どのようにつながっているのか、
引き続き整理していきます。
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