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義歯と噛み合わせ【第8回】 義歯と噛み合わせを考えた先に見えてきたもの ― 新しい連載「咬合の基本」へ ―

これまで本連載では、
「義歯」と「噛み合わせ」をテーマに、

・咬合平面
・フェイスボウトランスファ
・プロター咬合器
・生理的な咬合という考え方

といった内容を通して、義歯治療における噛み合わせの重要性を整理してきました。

ここまで読み進めてくださった方の中には、
「義歯の話をしているはずなのに、だんだん噛み合わせそのものの話になってきている」
と感じられた方もおられるかもしれません。

ですが、それは決して話が逸れているわけではありません。

■ 義歯を真剣に考えると、噛み合わせは避けて通れない

むしろ、
義歯をきちんと考えようとすればするほど、
噛み合わせそのものを避けて通れないという事実が、
次第に明確になってきた結果だと考えています。

義歯治療では、

・どの材料を使うか
・どの設計が良いか

といった技術的な話に目が向きがちです。

しかし実際には、
その義歯が「顎口腔系という生きたシステムの中で、どのように機能するのか」
を考えなければ、長期的に安定する治療にはなりません。

■ 義歯は「噛めるようにする装置」ではありません

ここで、ひとつ大切な整理をしておきたいと思います。

義歯は、欠損した歯列に咬合(かみ合わせ)を作るための精密機器です。

「義歯を入れたら噛める」というのは、
最終的に治療がうまくいった場合の“結果”であり、

義歯を入れること = すぐに噛める

という単純な関係ではありません。

その間には、
咬合の回復という重要なプロセスが存在します。

■ この考え方は、義歯だけの話ではありません

この咬合の考え方は、

・ブリッジ
・インプラント

といった補綴治療にも共通するものです。

当院では、
口腔内の状態や顎口腔系全体のバランスをきちんと見極めたうえで、
そこに患者さんのご要望をすり合わせ、
無理のない着地点を見つけ出すことを大切にしています。

■ 「理想の噛み合わせ」は一つではない

噛み合わせは、

・見た目だけ
・模型だけ
・理論だけ

で判断できるものではありません。

人それぞれ、

・骨格
・筋の使い方
・中枢神経の制御
・これまでの適応

が異なります。

だからこそ、
たった一つの考え方で、すべての噛み合わせを押し込むことはできない
と、私たちは考えています。

■ 新しい連載へ

こうした背景から、次回以降はテーマを整理し、

新連載
「咬合の基本 ― 顎口腔系から考える噛み合わせ ―」

として、噛み合わせそのものをより深く掘り下げていきます。

・理想的な噛み合わせとは何か
・合わせるべき噛み合わせ
・あえて合わせすぎない噛み合わせ

といった内容を、
顎口腔系という大きな視点からお伝えしていく予定です。

■ 最後に

噛み合わせは、
見た目だけで判断できるものではなく、
単純な正解が一つある分野でもありません。

だからこそ、
丁寧に考えていく必要があると感じています。

義歯の話は、ここで終わりではありません。
今後も、義歯に特化した内容については、
必要に応じて本連載に戻って詳しく取り上げていく予定です。

次回から始まる新連載が、
噛み合わせを考えるうえでの一つの「地図」になれば幸いです。

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