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臨床推論とパターン認識 ― 京都で改めて考えたこと

先日、京都で行われた中居伸行先生のセミナーに参加してきました。

中居先生は、私が尊敬する歯科医師の一人です。

以前、補綴学会でのご発表を拝聴し、その臨床に向き合う姿勢と深い思考に強く惹かれ、今回参加させていただきました。

■ 私が大切にしている「臨床推論」

日々の診療の中で、私自身が大切にしている考え方があります。

それを私は「臨床推論」と呼んでいます。

それは、

「なぜその状態になっているのかを構造的に考えること」

そして、

「患者さんの思いを含めた上で判断すること」

です。

今回のセミナーは、その姿勢を改めて見つめ直す機会になりました。

■ その対比としてのパターン認識

臨床推論と対比されるのが、「パターン認識」です。

パターン認識とは、

「これまでの経験から、似た症例を瞬時に思い出す力」

経験を積むほど磨かれる、大切な能力です。

診療のスピードや精度を高めるうえで、欠かせない力でもあります。

■ しかし、それだけでは足りない

歯科医師は善意から、

歯がなくなれば「補わなければいけない」と瞬間的に考えます。

歯の周囲に痛みがあれば、「その歯に原因があるのではないか」とすぐに目を向けてしまいがちです。

これはパターン認識が働いている状態とも言えます。

私自身も例外ではありません。

しかし、

本当に補うべき状態なのか。
痛みの原因は本当にその歯なのか。
患者さんは何を望んでいるのか。

一度立ち止まり、全体像を整理する。

ここからが、私の考える臨床推論です。

■ 義歯治療において

義歯治療では特に、

欠損を補綴するか、しないかを単純なパターンで決めることはしていません。

顎堤の状態
咬合支持の状況
筋の影響
咀嚼機能
患者さんの希望
生活背景

それらを診察と検査で可視化し、総合的に診断します。

その上で、

その方にとって最良の結果に導くための独自の対応を行っています。

■ 診察・検査・診断がすべての出発点

私は常に、

治療は診察・検査・診断の後に始まる

と考えています。

いきなり治療に入るのではなく、

まず診察を行い、
必要な検査を行い、
構造的に整理して診断する。

そこまでが整って初めて、治療が始まります。

臨床推論とは、このプロセスを丁寧に踏む姿勢そのものだと思っています。

■ 10年以上かかって見えてきたこと

義歯治療に臨床推論を応用できるようになるまで、10年以上の時間がかかりました。

経験を積み重ね、
失敗や反省を繰り返しながら、
少しずつ見えてきたものです。

しかし今でも、

自分にはまだ見えていないものがあるかもしれない。

そう思う謙虚な気持ちを忘れず、日々成長していきたいと考えています。

■ まとめ

パターン認識は経験の力。
臨床推論は姿勢の力。

経験に頼りすぎず、
理論に偏りすぎず、
患者さんの思いを含めて考える。

そして、

診察・検査・診断を丁寧に行い、
その先に治療を位置づける。

これからもその姿勢を大切に、一つひとつの症例に向き合っていきたいと思います。

最後に、このような学びの機会を与えてくださった中居先生に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

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