インプラントオーバーデンチャーとは
インプラントで支える安定した入れ歯
インプラントオーバーデンチャーは、顎の骨に埋め込んだ少数のインプラントを土台として、入れ歯をしっかりと固定する方法です。
総入れ歯のように歯ぐきの吸着力だけに頼らず、インプラントが支えになるため、ずれにくく、安定した装着感が得られます。
従来の総入れ歯に比べて噛む力が大きく向上し、「外れにくい」「食事が楽になった」と感じる方が多い治療法です。

どのように装着する?
あごの骨に2〜4本のインプラントを埋め込み、その上に「アタッチメント」と呼ばれる連結装置を取り付けます。
入れ歯側にはその装置と対応する部分が組み込まれており、カチッとスナップのように固定される仕組みになっています。
アタッチメントの種類には、磁石で固定する磁性アタッチメントや、金属球を用いるボールアタッチメントなどがあり、症例やご希望に合わせて選択します。
インプラントオーバーデンチャーのメリット
- 入れ歯が安定し、外れにくい
- 食事や会話中にずれる心配が少なくなります。
- 噛む力が強くなる
- 従来の総入れ歯に比べて、咀嚼力が大幅に向上します。
- 骨が痩せにくい
- インプラントが骨に刺激を伝えるため、顎骨の吸収が抑えられます。
- 取り外して清掃できる
- お口の中を清潔に保ちやすく、メンテナンスが容易です。
- 比較的少ない本数のインプラントで対応可能
- 全ての歯をインプラントで支える「固定式ブリッジ」に比べ、費用や手術の負担が軽くなります。
インプラントオーバーデンチャーのデメリット・注意点
- 手術が必要
- 顎の骨にインプラントを埋入する外科処置が必要になります。
- 治療期間がやや長い
- 骨とインプラントが結合するまで数か月の期間を要します。
- 取り外しの手間がある
- 毎日の清掃のため、入れ歯を取り外して洗う必要があります。
- 定期的なメンテナンスが必要
- アタッチメント部の摩耗や磁石の劣化により、定期交換が必要になる場合があります。
- 保険適用外(自費治療)
- 費用は材料・方法により異なりますが、数十万円程度が目安です。
どのような方に向いている?
- 現在の総入れ歯が外れやすく、噛みにくいと感じる方
- 入れ歯の安定を高めたいが、すべての歯をインプラントにするのは難しい方
- 顎の骨量がある程度保たれている方
- ご自身で取り外しや清掃ができる方

他の義歯治療との比較
治療法 | 特徴 | 適している方 |
---|---|---|
ミラクルデンチャー | 残っている歯を利用して小さく目立たない義歯を装着 | 自分の歯が数本残っている方 |
インプラント オーバーデンチャー |
インプラントで入れ歯を支える。安定性・咀嚼力が高い | 総入れ歯で不安定さにお困りの方 |
精密義歯治療 | 仮義歯を使って噛み合わせ・形態を細かく調整してから完成 | 長期的に合った義歯を希望する方 |
治療後のケア
インプラントオーバーデンチャーは、治療後のメンテナンスがとても重要です。
3〜6か月ごとに定期検診を行い、インプラント周囲の清掃状態、アタッチメントの摩耗、義歯のフィット具合を確認します。
適切なケアを続けることで、長く快適に使い続けることができます。

まとめ
インプラントオーバーデンチャーは、「総入れ歯の不安定さを改善したい」「もう少し噛みやすくしたい」という方に適した治療法です。
ミラクルデンチャーや精密義歯と同様に、患者さんそれぞれのお口の状態・希望に合わせて、最適な義歯治療をご提案いたします。