これまでの回でお伝えしてきたように、
「噛む」という行為は、単に歯と歯が接触することではありません。
脳 → 筋(咀嚼筋) → 歯列・顎関節
という一連の流れが協調してはじめて、スムーズな咀嚼が成立しています。
この全体のつながりを、当院では「機能的咬合系」と考えています。
では、この機能的咬合系が乱れると、何が起こるのでしょうか。
例えば、
・噛みにくさを感じる
・顎が疲れやすい、違和感が出る
・噛みしめや食いしばりが強くなる
・治療をしてもトラブルを繰り返す
といった症状が現れることがあります。
重要なのは、これらの問題が
「歯並びが悪いから」
「顎関節の位置がずれているから」
という単純な原因だけで起こるとは限らない、という点です。
歯や顎関節そのものに大きな異常が見られなくても、
歯根膜からの感覚入力や筋の働き、中枢での制御のバランスが崩れることで、
結果として“噛みにくい状態”が生じることがあります。
つまり、
見た目や一部分だけを整える治療では、
機能的咬合系全体の乱れを改善できない場合がある、ということです。
当院では、
歯・顎関節・筋・感覚・中枢
これらを切り離して考えるのではなく、
「どこで協調が崩れているのか」
という視点から咬合を評価しています。
次回は、
機能的咬合系の乱れが、さらに進行するとどうなるのか、
そして治療のゴールをどこに置くのかについてお話しします。
コメント