これまでの回で、「咬み合わせ」は歯だけで決まるものではなく、
脳・筋・歯列・顎関節が関わる“機能的なシステム”として成り立っていることをお話ししてきました。
今回は、その中でもよく質問を受ける
「顆頭安定位(かとうあんていい)」について、当院の考え方をお伝えします。
顆頭安定位とは、「顎関節の正しい位置」を決める概念ではありません。
機能的咬合系が破綻せず、無理なく成立している結果として、
顆頭が安定している“状態”を指す言葉です。
つまり、
・顆頭安定位を先に決めて、そこから咬み合わせを作る
・顎関節の位置を基準点として治療を進める
当院では、このような考え方は行っていません。
なぜなら、顎関節は「出発点」ではなく、
脳と筋の制御のもとで咬合が成立した“結果として安定する部位”だからです。
もし顆頭の位置だけを先に決めてしまうと、
筋の状態や感覚入力との不整合が生じ、
結果として違和感・疲労・咬みにくさにつながることがあります。
当院では、
・筋が無理なく働いているか
・感覚入力が中枢で矛盾なく統合されているか
・その結果として咬合が安定しているか
この流れを重視し、
その「結果」として顆頭が安定している状態を顆頭安定位と捉えています。
「どこが正しい位置か」を探すのではなく、
「機能が成り立っているか」を確認する。
これが、当院の咬合診療における基本的な考え方です。
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