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第1回 歯を失った時、インプラントとはどんな治療なのか?

当院では、
日々多くの義歯(入れ歯)治療を行っています。

その中で最近特に感じるのは、

「インプラントについて正しく知りたい」

と考えておられる患者さんが非常に増えていることです。

実際、現在の欠損補綴治療では、

・義歯
・ブリッジ
・インプラント

を完全に切り離して考えることは難しくなっています。

例えば、

義歯治療を中心に考える場合でも、

「少数のインプラントを利用して義歯を安定させる」

という治療を行うことがあります。

逆に、

インプラント治療を希望されていても、

・清掃性
・将来の管理
・高齢化
・噛み合わせ

などを考慮し、

義歯的な考え方が非常に重要になることもあります。

つまり現在は、

「インプラントか義歯か」

という単純な二択ではなく、

それぞれの特徴を理解しながら、

患者さんごとに組み合わせを考える時代になってきています。

そのため当院では、

まず患者さん自身に、

インプラントについて正しく理解していただくことが大切だと考えています。

そこで今回から、

インプラントの基本的なお話から、

実際の治療の考え方、

そして将来的には、

インプラントと義歯を組み合わせた治療についても、

できるだけわかりやすくお話していきたいと思います。

■歯を失うということ

歯を失った時、
多くの方が最初に不安になるのは、

「これからどうなるんだろう」

ということだと思います。

実際、歯を失うという経験は、
単に“1本なくなる”だけではありません。

食事のしづらさ。
見た目の変化。
噛みにくさ。
話しにくさ。

そして、

「また他の歯も悪くなるのでは?」

という不安につながっていきます。

その時によく耳にする治療法のひとつが、

「インプラント」

です。

最近ではテレビやインターネットでも目にする機会が増え、

「歯を失ったらインプラント」

というイメージを持たれている方も多いかもしれません。

では実際、インプラントとはどのような治療なのでしょうか。

■「抜いた後は差し歯ですか?」とよく聞かれます

実際の診療では、

歯を抜かなければならなくなった時、

患者さんから

「抜いた後は差し歯になりますか?」

と聞かれることがよくあります。

ただ、

ここで少し大切なのは、

“差し歯”は歯の根が残っている場合の治療だということです。

つまり、

歯の根が保存できる場合には、

その根を利用して土台を立て、
その上に被せ物を作ることがあります。

これが一般的に言われる「差し歯」です。

一方で、

歯を抜いた場合は、

その“根”自体がなくなります。

そのため、

単純に差し歯を作ることはできません。

そこで登場するのが、

インプラントという治療です。

インプラントは、

失われた歯の根の代わりを人工的に作る治療です。

つまり、

「歯がなくなった場所に、人工の根を作り、その上に歯を作る」

という考え方になります。

そのため患者さんには、

「抜歯後に、元の歯に近い感覚で固定式の歯を作るなら、インプラントという方法があります」

と説明することがあります。

ただし、

ここで大切なのは、

インプラントは単に“歯を作る”だけではないということです。

実際には、

・骨の状態
・噛み合わせ
・清掃性
・将来の管理

などを含めて考える必要があります。

■インプラントとは「人工の歯の根」

インプラントとは、

簡単に言えば、

「人工の歯の根」

です。

歯は本来、

・歯ぐきの上に見えている部分
・骨の中に埋まっている“根”

からできています。

虫歯や歯周病などで歯を失うと、
その“根”も一緒に失われます。

そこで、顎の骨の中にチタン製の人工歯根を埋め込み、
その上に人工の歯を作るのがインプラント治療です。

よく、

「インプラントはネジを入れる治療」

と説明されることがありますが、

実際には、

単なるネジではなく、

“骨と結合する人工歯根”

という考え方になります。

■なぜチタンなのか?

インプラントには主に「チタン」が使われています。

チタンは医療分野で非常に多く使われている金属で、

・人工関節
・骨折治療
・心臓ペースメーカー

などにも使われています。

その理由は、

人体との相性が非常によいからです。

さらに重要なのは、

チタンが骨と結合する性質を持っていることです。

これを

「オッセオインテグレーション(骨結合)」

と呼びます。

インプラント治療は、

この“骨との結合”が大きな土台になっています。

■ブリッジや入れ歯との違い

歯を失った時の治療法は、
インプラントだけではありません。

一般的には、

・ブリッジ
・義歯(入れ歯)
・インプラント

の3つが代表的です。

ブリッジは、
両隣の歯を削って橋をかける方法です。

比較的固定式で違和感が少ない一方、
健康な歯を削る必要があります。

義歯(入れ歯)は、
取り外し式です。

多数歯欠損にも対応しやすく、
修理や調整がしやすい反面、

違和感や動きが問題になることがあります。

一方インプラントは、

周囲の歯を大きく削らず、
単独で機能できることが特徴です。

そのため、

「自分の歯に近い感覚」

と言われることがあります。

■ただし「万能」ではありません

ここは非常に大切な部分です。

最近では、

インプラント=最先端
インプラント=最高

のようなイメージで語られることもあります。

もちろん、
非常に優れた治療法であることは間違いありません。

しかし、

“誰にでも万能”

というわけではありません。

例えば、

・骨の量
・噛み合わせ
・清掃状態
・全身疾患
・喫煙
・年齢
・通院状況

などによって、

向き不向きは変わります。

さらに、

「入れたら終わり」

ではなく、

その後のメンテナンスも非常に重要です。

インプラントは虫歯にはなりませんが、

周囲炎というトラブルは起こります。

つまり、

天然歯とはまた違った管理が必要になります。

■「できる」と「長く維持できる」は違う

歯科治療では、

「治療できるか」

だけではなく、

「長く安定して維持できるか」

がとても重要です。

これはインプラントに限りません。

例えば、

非常に難しい治療をしても、

・清掃が困難
・メンテナンス困難
・将来修理困難

であれば、

長期的には問題が起こることがあります。

特に現在は、

人生100年時代と言われています。

60代で入れたインプラントを、
80代、90代でも管理していく時代です。

そのため、

「今だけ」

ではなく、

「将来どう維持していくか」

まで考える必要があります。

■当院が大切にしていること

当院では、

インプラントを“特別な治療”として押し付けるのではなく、

数ある選択肢のひとつとして考えています。

実際には、

・インプラントが非常に適している方
・義歯の方が管理しやすい方
・両方を組み合わせた方がよい方

など、本当にさまざまです。

大切なのは、

「何を入れるか」

だけではなく、

その方が長く付き合える方法かどうか、

だと思っています。

歯科医療は、
単に“歯を作る”だけではありません。

その方の生活や年齢、
清掃能力、価値観まで含めて考える必要があります。

■インプラントは「ゴール」ではありません

インプラントは非常に優れた治療です。

しかし、

本当に大切なのは、

「その後、どう長く使っていくか」

です。

そして実は、

インプラント治療が進歩した今だからこそ、

逆に、

・義歯
・噛み合わせ
・メンテナンス
・清掃性

などの重要性が見直されてきています。

今後のシリーズでは、

インプラントの基本から、

実際の治療の考え方、

そして最近増えている

「インプラントと義歯を組み合わせる治療」

についても、

できるだけわかりやすくお話していきたいと思います。

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